SSブログ

百合ブログ小説2弾『白騎融合合体ロンギフローラム 第1章 彼女たちは調停者 2幕』 [百合小説:ブログ小説]


■スポンサーリンク■
 
 
白騎融合合体ロンギフローラム 第1章 彼女たちは調停者 2幕

 
 形代唯は『イマジネイター』の間では『スターゲイザー』や『ジャッジメント』などと呼称されている。これは人間の言葉に直した場合の代替の呼称である。基本的には同類である『イマジネイター』に対して知的生命体への過度の干渉や破壊行動を抑制する立場を選択することから、このような呼称が定着した。
 同時に、これは形代唯が単純に『イマジネイター』内でもかなりの実力者であることを示している。力のないものがいくら警告をしようと、それはたやすく聞き入れられることではないからである。
 とはいえ、今は『ジャッジメント』との呼称の方が定着しつつある。『イマジネイター』たちへの地球への干渉に対して、天田空と2人で『融合合体』した形態、『ロンギフローラム・ハイブリッド・フェイズ』、通称『LHFまたはロンギフローラム』によって、それを実力で阻止することが増えたからである。
 このロンギフローラム・ハイブリッドとは、一般的に日本原産の白いユリの花などを品種改良したものを指す言葉であり、多くは白い色のユリの花である。
 これを2人の『融合合体』した、白を基調とした凛々しく可憐な女騎士の面影のあるロボットのような形態への呼称に用いたアマネリスの、2人へのある種の揶揄が込められていることは、疑いようがない。


 ハンガーの上部が開いた瞬間に、『ロンギフローラム』は上空へと舞い上がり始めた。なにかの推進機関が動いているような様子はない。若干周りの空気が流れているようにうかがえるが、単純に空気の対流を利用して上空に舞い上がっているのにしては、空気の対流が少なすぎる。まわりの人間への影響がもっと大きいはずだが、そういった様子もない。
 実のところ、どういった原理で飛行しているのかを周りの人間が聞いてみたが、唯の回答は、
「力場の発生能力とその干渉を応用した、力場の反動推進」
 というものである。その発想や原理については理解は出来るが、それがどのような仕組みで行われているかは、さっぱりである。というのがアマネリスの感想だった。
 もっとも、唯だとて人間でいうなら歩いているのと変わりがないような『イマジネイター』にはごく普通の行動であって、普段は意識すらしたことがないようなことを、科学的に説明することは大変困難だったのである。結局、唯本人がかろうじてこうやっている、といったことを説明はしたものの、それを科学的に理論だてて再現することは現状到底無理だろうという結論で、この論争はそうそうに終わった。
「まあ、それはいいとして、まわりの人があんまり影響受けないのはいいよね」
「空気を流体として利用して反動で推進していたら、ここにいる連中はみんな風で飛ばされかねないからね。ワタシはソラが無事なら別に構わないけど」
「またそういうこという、唯きらわれちゃうよ?」
「ソラにさえ嫌われなければ、それでいいよ」
「私も、嫌いになっちゃうかも」
「そ、それは困るよ!」
「嘘だよ、唯のこと、嫌いになんてなれっこない」
 そうやって、また2人で軽く口づけを交わす。現状コクピット(見た目はロボットだが本来はロボットでないものの中を、そう呼んでいいのかよく分からないのだが)では、上半身が裸の唯がこちらを見つめているという構図になっている。
 もっとも、それが視界に直接邪魔となることはない。そとの視界が網膜に直接投影されるようになっているが、同時にコクピット内部もうっすら見えるようになっている。意思を集中させるだけで、どちらの映像をより優先するのかまでを、決めることが出来る。これは、唯の『イマジネイター』としての力だが、もっとも私が協力的だからこういった処理が簡単に出来るようだ。
 『融合合体』したあと、内部にいる私のような『コア・モジューラー』に対して、『イマジネイター』は情報の引き出しやフィードバックを目的とした外部情報の入力などを行うが、このとき知的生命体がその情報の入出力に否定的では、情報の処理能力が極端に低下する。
 これが、私たちの融合合体形態『LHF』の最大の強みだ。他の『イマジネイター』は大抵は情報の入出力を強引に行っていたり、自分たちが『コア・モジューラー』にとって便利な形態をとるという発想がない。
「だから、ワタシたちは負けない」
 と唯は言っている。実際のところ単純な力では負けていた例は皆無ではないが、明らかにそいつらは宇宙生命体・ETとしては強いが、地球上で戦うために必要な知識などで劣っており、実戦においては敵ではなかった。
「油断は、出来ないよ。私は戦闘に関しては素人なんだから」
 この言葉は、私に対する戒めの言葉でもある。『コア・モジューラー』としては有利かもしれないが、唯に人間の姿を模した存在により効果的な戦い方をさせるための、訓練などは正直あまり足りていないと思っている。そのような状態で油断すれば、必要以上に唯を消耗させてしまうかもしれない。
 私は、それがなによりおそろしいのだ。


「そろそろかな? 今どこのあたりだろう?」
「大雑把にいって、日本の北北東、北極圏の近くかな」
 地図上の大雑把な位置などを把握するのは、唯の役割である。というより、人間である私には移動などに関する感覚のフィードバックは、ある程度制御がされているから、移動した場所を正確に把握することはまず不可能だ。
 しかも、聞くところによると『ロンギフローラム』なら軽くマッハ10を超えている速度が出せるようだが、それでいて私のような訓練を受けていない人間にも、通常よりも遥かに正確に動く物体を見ることが出来る。
 それらの情報の選定を行って、私に最適と言える情報を与えているのも、唯である。私がしていることは、あまり多くはない。
 とはいうものの、唯にいわせれば『LHFとなっているときのワタシが人間としての思考をエミュレート出来るのは、ソラをコア・モジューラーとしているおかげ』ということになるらしい。『イマジネイター』としての唯は、イマジネイターとしての思考で人間の考えることを想像するしかないらしく、人間としての知識もあいまいにしか把握出来ないらしい。それを、私の思考を共有することで、両者の思考を同時に把握して行うことが可能となるのだと。
 結局、私たちは2人いて、はじめて『ロンギフローラム』として調停者としての役割を果たすことが出来るのだ。それは、私にとってとても誇らしいことだった。
「この感覚……下? 海の中にいるの?」
「どうやらそこそこの深度に潜って、そこで私たちを出し抜くつもり……」
 唯がそこまで言ったときだった。私としては、水中での戦闘経験は多くはないが全くないわけでもないし、移動に支障があるわけでもない。だから、そのまま海に侵入しようとしていたのだ。だが、この感覚はおかしい。
「浮いてくる!?」
 しかも、一直線にこちらに向かってきている!
「待ち伏せか! しゃらくさい!」

 とはいえ、気になることはある。相手はこちらの警告を聞いて、破壊衝動を行う前兆の信号を発していたのだ。だから、てっきり罠があったとしても、こちらをかく乱する類のものだと思っていた。それが、真っ向からこちらに向かってくる。
 それが、この動き。破壊衝動を発しながら、それでいてなにかを破壊しに移動していたにしては、なにか不自然だとも思っていた。てっきり、隠密行動を行うためだと思っていたのだが。最初から、私達と戦うこと以外を考えていなかった? なぜ? この戦い自体に意味などないはずなのだ……

 その疑問をよそに、気配はまっすぐこちらに向かってくる。体当たりするつもりか? そうはさせじと急速にロンギフローラムを後退させる。そして目の前で、なにかが急速に海から飛び出たことを示す、水しぶきが派手に舞い散った。


白騎融合合体ロンギフローラム 第1章 彼女たちは調停者 3幕 へと続く

 
 


■スポンサーリンク■

ロンブー淳ことロンドンブーツの田村淳が生放送配信中に2人の警察官にマジギレして怒りの抗議 [ニュース]


■スポンサーリンク■
 
 
ただし、これは正直なところどちらに非があるのかは不明である、というよりもいささか不可解である。本当にロンブー淳に非があればそもそも抗議したことで公務執行妨害にあたりかねないはずだが、田村淳は別に逮捕されていないからである

トラブルが起きたのは、2012年10月26日の夜のことである
この日、田村淳は自分が率いるロックバンド「jealkb(ジュアルケービー)」のライブをピーアールするために、都内の路上に来ていた
そこでスタッフらとともに自らもチケットを販売、さらにその様子を動画サービス「ツイキャス」を通じてインターネット上で生配信していた
ちなみに、ツイキャスとはツイッター上で動画を配信することも可能な、生放送などの配信サービスを提供するものである


事件は、このときに起こったのである。男女2人組の警察官が現れて、女性警官は田村さんらの車を駐車違反で取り締まるとともに、動画配信も「道路の許可は?」と生放送の配信を止めさせようとした
「俺の仕事侮辱しておいて…!」「もっとちゃんと謝ってください!」
田村淳は怒りの声を上げて抗議をした上に、その様子を生放送で中継していた
この一連の出来事に関しては、抗議で怒りの声を出したことに対して大人気ないという意見も多く聞かれる
しかし、本当に大人気ない抗議だったのだろうか? 駐車違反にについても違反していたかどうかは正直微妙なところであろうが、それよりも問題なのは動画配信に対して、直ちに停止するよう高圧的に勧告を出したことである
そもそもこの勧告が正当かどうかを判断しなければならない。それをしないうちに大人気ないなどというのは、問題外といえないだろうか?


実際のところこの生放送に、本当に許可が必要だったかは生放送の映像だけでは判別しづらい
しかし、許可が必要な状況か分からない状況において、配信の停止を直ちに勧告するのは、日本では基本的に越権行為というか、少なくとも任意で求めなくてはならないはずのことがらである
日本の法精神は基本的に、疑わしきは罰せず、といわれる違法性があるか確認するなら、それは違反行為を停止させる行為とは違うのだから、本来はもっと丁寧かつ任意で促すように行われるべきだ
現実問題として、これほど高圧的なものいいをしておいて、万が一違法性がなかった場合、この警察官たちはどう対処するつもりだったのだろうか?
違法性があるなら、まずその違法性があることを説明するべきであることは、まず間違いない


もっとも、田村淳も素直に警察の勧告にある程度は従いながら、違法性はないことを主張していれば、特に問題は起きなかったとも思われる
ただし、本当に生放送自体に違法性があって、更にそれに明確に警察官に対して逆らったのであれば、本来は公務執行妨害に当たるはずなのだが……
この事件があっても、田村淳は別に警察官に逮捕はされていないということは、警察側としても最初の勧告などになにかまずい点があったとしか思えない

本当に最初の勧告に正当性があったなら、これは普通に刑事事件として扱われているはずの出来事だろうからである。にも関わらず、冒頭で述べたように田村淳は別に逮捕されているわけではない。実に不可解である
 
 


■スポンサーリンク■

Windows 8 にMicrosoftへ苦情の嵐! 後悔する前に、タッチパネル対応に関する豆知識を知ろう [雑学]


■スポンサーリンク■
 
 
先にいっておくと『タッチパネルはディスプレイ側に感知用のセンサーが搭載されているもの』を指す
このタッチパネルのセンサーには、大別すると実用化されている主流のものは2種類がある
『感圧式』と呼ばれる圧力そのものを感知するもの、『静電気感知方式』のように、人間の指などから発生する微弱な静電気を感知するもの、の2種類だ
この類の『センサーが搭載されていないディスプレイは、タッチパネルと呼称することは出来ない』のである


つまり、Windows 8 のようなOS自体には、ディスプレイをタッチパネルにする云々は一切関係がない ディスプレイにのセンサーが搭載されているかどうかが、タッチパネルであるかどうかの全てなので、当然である


では、Windows 8 のタッチパネルに対応云々は一体何なのか?
冷静に考えると、『OS側に搭載されているタッチパネルの機能に対応した動作を保証する』という意味での対応なことはすぐわかるはずだ
言い換えよう。ディスプレイがいくらタッチパネルだろうと、『本体のOSやソフトウェアなどがタッチパネルに対応していない場合、タッチパネルをいくらタッチしても、特別な動作はきないということになる』
これはつまり、タッチパネル対応型のOSやソフトウェアがなければ、タッチパネルの機能はディスプレイを押したことを感知できる、ということだけになるわけだ。まあ、アイコンなどはこれでクリックが可能かもしれない


が、その程度ではタッチパネルとしての機能を活かしているといえるのか? 全くいえないだろう
『タッチパネルのセンサーを有効に活用する機能に対応している』OSなどがあって、初めてタッチパネルは有用となるわけである
Microsoft側が本来主張したかったのは、つまりはこういうことなのである。タッチパネルを有効に活用できるように機能を追加されているのが、Windows 8 である
ということは、ディスプレイがタッチパネルでなければ、当然タッチパネルに対応する機能云々は意味がない。『ディスプレイがタッチパネルだった場合』の機能だから、当たり前なのだ


今度の1件は、こういった基本的なことを一切勉強せずに買い物をする、言ってみればずぼらともいえる行動が原因である。少し調べれば、タッチパネルはディスプレイ側の機能であることなどすぐに分かるはずだからだ
 
 


■スポンサーリンク■
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

あの料理の鉄人が13年ぶりに復活! アイアンシェフとして10月に新生! [ニュース]


■スポンサーリンク■
 
 
では、まず元番組であった『料理の鉄人』についてふれておこう13年前の伝説的な番組であることは御存じの人も多いと思うが、『アイアンシェフ』も基本はこの番組を踏襲すると思われるので、『料理の鉄人』のことを知らない人のためにも、紹介をしておこう

『料理の鉄人』はフジテレビで放送されていた料理番組である。ただし、それまで料理番組で主流であった料理講座を行うような番組ではない
今までの主流とは違い、料理人同士の対決を前面に打ち出したのが特徴といえる。それまでの料理番組に対する流れを変えた番組といってもいいかもしれない
この『料理の鉄人』では、架空の団体「美食アカデミー」の主宰者側が美味しい料理を食べるため、美食アカデミー所属の料理人と、その挑戦者を対決させると言う設定のもとに、各料理人たちが対戦形式で料理を行う番組となっている


『料理の鉄人』は対戦形式ではあるが、同時に単純に料理を作って対決する番組ではない
まず、挑戦者は『鉄人』の中から1人を対戦相手に指名した上で挑戦する
さらに、調理開始直前に『今回の食材』を、主宰が用意された盛付けの覆いを取り払い、その場で発表する
料理の制限時間は60分であるために、今回の食材が発表された時点から、料理人はまず自分が作る料理の構想を練る必要が生じるわけである
挑戦者選びもここで重要な要素となるわけである。場合によっては比較的使用する機会の少ない食材を料理する必要も出てくるのだから
このあたりの番組構成は実に秀逸といえる


『アイアンシェフ』は、この『料理の鉄人』を踏襲した番組となっている
 
 


■スポンサーリンク■
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

百合ブログ小説2弾『白騎融合合体ロンギフローラム 第1章 彼女たちは調停者 1幕』 [百合小説:ブログ小説]


■スポンサーリンク■
 
 
白騎融合合体ロンギフローラム 第1章 彼女たちは調停者 1幕

 
 世界で初めて『イマジネイター』が観測されて、実はあまり長い時間は経っていない。その中でも、ETとしての存在の確立と、その個体的性質を突き止められたのは、正確には形代唯が『イマジネイター』としての知識を人間に開示したからであった。
 しかし、形代唯の目的は、人類を『イマジネイターの脅威から救う』などというものではない。唯は基本的に天田空の保護だけを考えている。唯にとって当初最も大きな課題は、自分という存在をそばにおいた状態で、天田空を社会的、文化的に保護しつつ生活していく方法であった。

「とはいえ、対イマジネイター戦略研究開発部門』に対して、直接交渉してくるとは思わなかったけど」
 それは、アマネリスがよく口にする過去話の1つである。とはいえ、それがアマネリスをはじめとする組織の権限を強化する要因になったのだから、感慨深くなるのも頷けることだろう。
 唯によってもたらされる(今も時々研究を手伝っている)その情報があればこそ、国連において本来は研究開発を行うだけの部署だったはずの組織が、『対イマジネイター』において絶大な権力を発揮できるようになったのである。
 その情報がなければ、そもそも人類の『イマジネイター』に関する知識やその性質についての理解は、大幅に遅れていたであろうから、今の展開は唯にとってはまさしく計算通りであったのだろう。

「で、依頼の件なんだけど。最近、イマジネイターの破壊衝動に類似した電波観測がされていたのよ」
 アマネリスは腰にまで届く金髪碧眼の美女であり、同時にグラマラスで身長も高い。とはいえ、研究員ということで少々運動不足になり気味であり。若干太ることを気にかけているようであった。とはいえ、彼女は私から見たら実に羨ましい体系である。
 というか、唯でさえ私より身長が少々低いとはいえ、大分胸などが肉感的というか、かなりの自己主張をしている体形である。子供のような体系をしているのは私だけであり、若干そのことにはコンプレックスを抱かずにはいられないのだった。
「その件は知っている。ワタシが連絡を受けて、くだんのイマジネイターに電波交信による警告を敢行したから」
 そう、『イマジネイター』はもともと宇宙で生まれたから、交信手段として音ではなく光の1種である電波を使用しているのだ。それ自体は『対イマジネイター戦略研究開発部門』でも一応掴んでいたのだが、唯が詳しいパターン解析に協力したことで、ようやくある程度は破壊衝動などの極簡単な意思については、パターン解析が出来るようになってきた。
 前は、電波の波形パターンなどから人間が使用している信号ではない、ということから類推してイマジネイターの交信である、ということしか判明していなかったのだから、これでも大分進歩したのである。
「いまいち効果がなかったらしいわね。どうやら、これから破壊行動に出るようよ。まあ、それだけならまだよかったのだけれど……」
「あのときは、たしか『コア・モジューラー』は肉食系哺乳類のクマ科の類だったはずだが、電波による交信はそれっきりで、それ以降は様子見で連絡してなかったから……人間をコア・モジューラーに変えて、地球に関する知識を急速に高めでもしたのかな」
 そうだとすると、少々厄介なことになる。無生物と融合したイマジネイターはあまり情報量が多くないために、地球上では大して強くはない。生物と融合した場合でも、それが人間ほどではないにしろある程度高度な知能を有している存在でなければ、結局は地球に関する知識量で勝る側が大体は有利なのだ。
 だが、人間と強引に融合した場合はかなり厄介である。人間と交渉して双方の合意の上での融合ほど効果は高くないが、『対イマジネイター戦略研究開発部門』などの存在に関する知識を向こうが得てしまうこともあるし、そうでなくても地球に関する知識量が格段に増す。個体的な強さは大して変わるわけではないが、そういった知識量の差があるだけで、罠や隠密行動などを使ってくることも考えられ、敵としては格段に手強くなる。
「ビンゴ! 話が早くて助かるわぁ。で、人間の生活にとって比較的致命的な被害を与えられる場所を探索しているようなのよねぇ。さすがにユイチャンの『スターゲイザー』としての勧告を無視するだけあって、人間をコアにしてもあまりおつむはよろしくないようで」
 実は『イマジネイター』間にも力の格差や知能に関する差が存在する。特に知能に関する項目はある意味厄介で、『イマジネイター側』の知能が低いと唯との実力差が分からないのか、うまく交渉することが出来ないのだ。交渉出来るだけの知能を持った存在なら交渉で戦いそのものを避けることが出来るのだが。
 どうやら、今回の『イマジネイター』は人間と融合して高い知能を獲得したはずだが、それでもなお『イマジネイター』としての実力差などを理解するだけの知能には欠けているらしい。交渉で戦闘を回避するのは、不可能というわけだ。
「ワタシは、その勧告を無視するなら地球側の2人の『ジャッジメント』として、その行動を掣肘するという警告もちゃんと送ったよ。それも無視して、人間をコアとして地球に関する知識を深めながら、なおも破壊行動を続けようとするというのなら、『調停者』として実力行使に動かざるを得ないかな」
「場所は分かるわよね? 一応座標もある程度は判明しているけど。人間をコアに変えてから、こっちのこともある程度知識として取り入れたみたいで、正直正確な場所を追尾するのにはかなり苦労しているのよ」
「それは大丈夫です。いままでも唯と合体した状態なら、すぐに場所が分かりましたし」
「ソラが一緒になってくれているんだもの……ワタシがやれることは全部やってみせるから。ソラのためなら、ワタシはどんなことでも、きっと出来る」
「決まりね。それじゃ頼んだわよ。報酬なんかはいつも通り、日本支部経由で口座に振り込んどくから。お願いね」
 最近の『対イマジネイター』に関する会議は、大体こんな感じである。ほぼ唯一にして最大戦力である2人に任せておけば、大抵はなんとかなるとアマネリスは思っているようだし、それは私も同じだ。唯がいれば、どんな相手も怖くない。
 それに、みんなを守るために、唯と一緒に頑張ると決めたのだ。唯が、それを後押ししてくれた。唯はいつでも私のことを優先してくれる。それがとても気恥ずかしく感じることもあるのだけれど。そういった存在がそばにいてくれることは、とても暖かい気持ちになれる。


「さて、ではソラ、合体しよう!」
「ゆ、唯。恥ずかしいから大声で叫ばないで!」
 唯は地球外生命体・ETであるから、人間的な常識や情緒が欠落していると思われがちだ。しかし、唯は私と初めて融合していこうは、ヒト型を維持して自分で様々な情報などを入手することで、人間的な個性を獲得しつづけている『イマジネイター』でも特に知識欲が豊富で知能面で優れた存在である。
 だから、実は人間の知識に関してはあまり疎いわけではないのである。このような場合、大抵は人間の機微をワザと無視している事が多い。つまり、私が恥ずかしがるのを分かっていて、それを楽しんでいるのだ。
「いや、ソラも声が大きいよ。大丈夫、ここはワタシたちを知っている人間の方が、ずっと多いから。それに、このハンガーの上部が開くまでは、どの道衛星なんかではワタシたちを見ることは出来ないよ」
「で、でも……」
 そうはいっても、恥ずかしいものは恥ずかしい。気の利いた人はあまりこちらをじろじろ見ないようにしてくれているが、大抵の人間は私たちが合体すると聞くと、にやにやしながらこちらを眺めたりする。
 ノリのいい人たちに至っては、口笛で囃し立てはじめたり、祝福の言葉をこちらに送ってきたりする。とにもかくにも、私の方は出来るだけ秘密裏に『融合合体』したいのだ。
「いいじゃない。ワタシたちのことを皆応援しているんだよ? ソラは……ワタシと合体するのがいや?」
「そんなことないけど……! でも……」
 やっぱり、こういったことは、出来るだけロマンチックな場所で、秘密裏に2人きりでしたいのだけれど。残念ながら唯の方は、皆に見せつけてやるといった心持ちでいると思われるから、それはなかなか敵わない。
 それに、実のところ私たちの『融合合体』は、こういった『私たちを外か見えないようにするための専用ハンガー』以外ではなかなか出来ない。私たちのことがバレてしまうと、むしろ私たちの関係者に何が起こるか分からないからだ。
 結局、こうして『対イマジネイター戦略研究開発部門』に所属している人間たちに見られながら、『融合合体』をせざるをえない。
「そ、それじゃあ、唯」
「ソラ、愛してるよ、他のだれよりも、ずっと、永遠に……」
「私もだよ、唯……」
 私たちが抱き合い始めたあたりから、周りの囃し立てるような声が聞こえてくる気がしていたけれど、それももう気にならない。唯の体と顔だけをじっと見つめて、それ以外は目に入らない。唯の唇が私の顔に近づいてくる。


 そうして、私たちは、唇をゆっくりっと、そしてじっくりと口づけをかわす。これが『融合合体』に必要な私たちの儀式だ。そうして、私たちの意識は変質していく。互いの意識が混ざり合い、存在を感じ合い、それでいて違う存在であることを認識し合う。とても愛おしくて、そしてとても悲しく、そしてとてももどかしい感覚の中で、自分たちが変質していくのを感じた……


白騎融合合体ロンギフローラム 第1章 彼女たちは調停者 2幕 へと続く

 
 


■スポンサーリンク■

桑名正博が10月26日に死去! 元妻のアンルイスが危篤時に縋り付くも…… [ニュース]


■スポンサーリンク■
 
 
 桑名正博(享年59歳)は2012年7月15日の早朝に大阪市内の自宅で脳幹出血により倒れ、意識不明の重体となったミュージシャンである
 その破天荒な発言などから荒っぽい人格だと思われがちのようだが、チャリティ活動なども地道に行っている人物であり、それに共感した西城秀樹、松本孝弘、河村隆一その他多数の芸能人がチャリティに協力していた


 この桑名正博が死去したことに対して、音楽界からは嘆きの言葉や追悼の言葉が多数寄せられている 
 現在は音楽プロデューサーでもあり、歌手でもある・つんく♂(43歳)はツイッター上で「心よりご冥福をお祈り申し上げます」と書き込んでいる
 ロンドンに移住している歌手の布袋寅泰(50歳)もツイッターで「桑名正博さんの御冥福をお祈りいたします」と遠い地から書き込んでいる


 元妻のアン・ルイス(57歳)は危篤状態の桑名正博に縋り付いて回復を祈っていたようだが、その甲斐もなく今回のようなことになった。自身のフェイスブックに、子供のころの長男の美勇士(31歳)と桑名さんの3人の写真を公開。冥福を祈っているようだった
 桑名正博の息子である美勇士は、自身のツイッターで「リップおやじ」とツイート。このリップという言葉は、安らかに眠れ、という意味である。彼も自分の言葉で父親の冥福を祈っているようである
 
 
 桑名正博は倒れて危篤状態になるまでの間は、元妻であるアンルイスや、その息子である美勇士との間にいろいろな確執もあったようだが、やはり家族であったころの絆も厳然と存在していたようである
 私も、桑名正博の冥福を彼らとともに祈りたいと思う
 
 


■スポンサーリンク■
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Windows8が10月26日より一般販売開始! その魅力と変更点などに迫る! [ニュース]


■スポンサーリンク■
 
 
10月26日、Windows8の一般販売が開始された
その前日に当たる25日には、東京都内にある『ベルサール秋葉原店 」にて「前夜祭」が開催されたようである。この前夜祭の参加料は無料だったので、そちらに赴かれた人もいるかもしれない
Windows 8のCM曲にも起用されたガールズバンド、『SCANDAL』を含む何人かの有名人による、スペシャルライブやトークショーなども行われたようである


さて、それではいよいよメインであるWindows 8の機能などに迫っていこうと思う。
まず、全体的な性能についての所感についてお話しておこう。ざっと情報をチェックしてみた限りでは、やはりWindows 7が比較的好評だった要因をさらに追及して、軽量化路線を進めているようである
つまり、Windows 8はコンピュータに要求する性能そのものを少なくする路線へと変更が更に進められているのだ
その要因の1つには、ネットブックなどの比較的低価格なPCなどの普及や、将来的なタブレットPCや小型PCの普及を見越しての動きもあるだろう
つまり、端末としてのPCが性能を重視していた時代から、性能自体よりも本体の小型化や低価格化による持ち運びも可能なものへと移り変わる、という時勢を見越しての仕様変更だと思われる
つけくわえれば、CPUの性能進化についても基本頭打ちの傾向が強く、なにかのパラダイムシフトでも起こらない限りは、CPUの性能の圧倒的な向上は見られないということであり時代としてはむしろコアの複数化や小型化への移り変わりの方が主流である、ということも問題となっている

つまり、CPU側の高性能を期待しての多機能の豪華なOS設計はもう過去のものということだろう
ただし、物理メモリに関しては高性能化と低価格化が多少CPUよりはまだ技術革新が進んでいるので、物理メモリの方は要求が多少厳しいものとなっている
32ビットCPU版の推奨環境は1G以上の物理メモリ程度だが、64ビットCPUの推奨環境に至っては2G以上の物理メモリが必要とされている。この点には注意してほしい。
CPUはともかく、物理メモリの要求量はこれからもあまり減少することはないだろうからである


Windows 8はWindows 8 Modern UI design(旧称Metro UI)を採用している。すべて単色の背景になっっている
Windows AeroのAero Glassが廃止されており、これまでのWindowsと比べデザインがシンプルになっている。この編も、現代の省エネ指向のOSであるということを反映しているだろう
全体的には、互換性を維持しながら省エネ志向を追求したOSとなっており、もしかするとWindows 7以上に評判のよいOSになるかもしれない
今後このOSを標準で搭載することになるPC達にも、注目していきたいところだ




■スポンサーリンク■

ドラフト会議2012速報! メジャーリーグ挑戦を表明している大谷翔平投手は日本ハムが単独指名! [ニュース]


■スポンサーリンク■
 
 
ちなみに、他に注目されている投手の動向についてだが、、藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭高)は阪神が、大学でNo.1と言われる右腕投手の東浜巨投手(亜大)はソフトバンクが、それぞれ競合した末に交渉権を獲得している


それでは、各選手の特徴について、簡潔にではあるが、述べていこう
まず、藤原晋太郎投手についてだが、高校の公式大会の記録では防御率が1割程度と、かなり高く堅実な防御率を叩きだしている。その身長は197cmとかなりの長身である。
その長身を生かして繰り出す最速153kmのストレート。そしてそのストレートを更にいかす布石にも使える、鋭いスライダー、カットボールが武器である
その長身から、同じく長身の投手であるダルビッシュ有になぞらえて「浪速のダルビッシュ」とも呼ばれることもあるようだ

次に、東浜巨投手についてである。こちらは身長181cmと、決して低くはないがそれを武器と出来る身長ではないだろう。しかし、こちらも防御率は公式大会で1割以下を記録するなど、実に堅実な投手と言える
身長そのものは武器と出来るほどではないとはいえ、その恵まれた体格によって、常時140kmを超えるストレートを投げることが可能である。試合中の修正能力も高いと評判である
それでいて、コントロールもいいらしく、よく投げ込まれるツーシームとスライダーの組み立てにより、打たせて取るピッチングを主体としているようだ
ちなみに、ツーシームはフォーシームほど球速が出る投げ方ではないのだが、その分打者が打った時の飛距離が伸びにくいという特徴もあるために、打たせて取るという方針とはよくあったストレートの投げ方だろう


最後に、メジャーリーグへの挑戦を表明している、大谷翔平投手について記述しよう
彼は、3年夏の岩手大会の準決勝・一関学院戦において、アマチュア野球史上初となる最速160km/hを記録したことでも知られている。剛速球が持ち味の投手であるといえる
ただし、公式記録としては防御率が3割以上であるなど、必ずしも公式大会などで投手として好成績を残せているわけではない。
ただ、実は打者としての評判も決して悪くはないため、総合的な能力においては、かなり高い潜在能力を秘めているといえるだろう。今後の成長が楽しみな選手の1人である
193cmの恵まれた体から最速160kmのストレートを投げ込む本格派右腕である。スライダーと前後のカーブ、数種類のチェンジアップ、フォークも投げ分けるなど、多彩な投球による投げ分けも今後に期待できる要素だ
ただし、若干制球力に課題を残しているようである。それが防御率がいまいち揮わないわけであろう

ちなみに、日本ハムに指名されても彼のメジャーリーグ挑戦の意思は変わっていない模様である
 
 


■スポンサーリンク■
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

百合ブログ小説2弾『白騎融合合体ロンギフローラム 始動章 胎動していた悪意』 [百合小説:ブログ小説]


■スポンサーリンク■
 
 
白騎融合合体ロンギフローラム 始動章 胎動していた悪意

 

 それは、それがまだ始まりの予兆だとは気付いていなかった『例の事件』から、2週間後のことであった。場所は地上の遥か上。人には住むことが難しい、なのに憧れさえ秘めて見上げている、冷たくて暗い星屑の漂うソラ、宇宙での出来事である。


 
 天田=空(アマタ=ソラ)は黒い虚ろな空を見上げていた。止められなかった。という思いが胸を締め付ける。だが、これで終わりというわけではない。これはあくまで始まりに過ぎないと、彼らは語ったのだ。
「エルトリアの目的は! 答えて、オルクス!」
「……」
 その空の問いを、『オルクス』と呼ばれた地球外生命体・ETでもある人型の巨人たちは、特に意に介した様子が見られない。天田空、彼女の代わりに永遠のパートナーを自称し、空と融合合体出来ることを自分の存在意義とまで語る形代=唯(カタシロ=ユイ)、地球外生命体・ETのイマジネイターたちの中でほぼ唯一の人間に好意的で、なおかつ日常生活においてはヒト型をとり続ける彼女が、イマジネイター流に問いを投げかける。
 ただし、それは地球人には聞こえるはずはない。イマジネイターたちは宇宙生命体であるため電波で通信しているが、それは人間が使う符号とはかなり性質が異なるため、それを言語のように翻訳することは大変困難だ。ただ、唯とオルクスはおなじイマジネイターであるので、ちゃんと交信自体は可能なはずである。
「……!」
「消えた!」
 天田空の視界から、オルクスは姿を消した。唯は空に向かって首を振った。その意図を空は理解した。オルクスは同じイマジネイターである彼女の交信にすら答えず、姿を消したのである。であるからして、その意図は当然分かるはずはない。
「あの隕石は……あのままだとどこに落ちるの?」
「隕石は、イマジネイターと融合しているから……ある程度は落下地点を変えられる。どこに落ちるつもりなのかも分からない」
 隕石に目を向ける。現状ではまだ情報が足りないために、ただのテロリスト集団であるとしか言えない『エルトリア』だったが。その頭目と融合合体しているオルクスは、
「これが始まりだ」
 と先ほど宣言した。これは始まりに過ぎないが、しかし分からないことの方が多い。目的も分からない。ようやくエルトリアという組織名が判明したばかりだ。だが、今なすべきことは分かっている。
「隕石を止めよう」
「ただの足止めにしては大がかりだね。とはいえ、それがこれの主目的なのかな。いまならまだ追いかけられないこともないけど、ソラはどうしたいの?」
 空は、出会って大分経ったものの、いまだに意思が良く見えずそれが虚空を連想させる、黒い淵を連想させるほど深い深い深海のような蒼の目をした、融合体を形成しているイマジネイターである唯の目を見る。ちなみに、中から人間の時の姿をわざわざ見えるようにしているのは、唯の趣味だという。
 ほとんどのイマジネイターは、融合体の核として取り込んだ『コア・モジューラー』の類は、情報源としてしか見なしていない。そのため、情報をフィードバックさせるために外界のデータは与えるが、基本的に『コア・モジューラー』にはその程度の価値しか見出していない
 だが、唯は違うらしい。意思が見えないほど深い瞳は、ただ空だけを見、空だけを求めているように見える。
「言って、ワタシに。願って、ワタシに。求めて、ワタシを。ただ必要として、ワタシを。ワタシを、見つめて。ワタシはただ、アナタに、ソラに必要とされるワタシになりたい」
 とはいえ、空には唯だけを考えることは無理だった。空には、守りたい人々がいるのだ。地上にも、それだけではない。空には家族もいる。彼女が所属する『国連の対イマジネイター戦略研究開発部門』にも知り合いがいる。知り合いでない人々も、守れるのなら守りたいのだ。それを誤魔化して、唯だけが大事などとは、言えないのが空だった。だから、ただただ正直な気持ちを、簡素な言葉に乗せる。
「私も唯が大好きだよ。一番大好きだよ。でも、他の人も守りたい。みんなを、みんなを守りたいんだ!」
「ソラの気持ちがまっすぐ伝わってくる、とってもいい言葉……行こう、大気圏に突入することになっても、ワタシがソラを包み込んで守っているから!」
「ありがとう、唯……」
 あとの言葉はいらない。空は唯と軽く口づけを交わすと、隕石に向かって自分たちを近づけるようにイメージした。それを空のイメージ通りに、時にはイメージ以上の運動で、空と唯の融合体を隕石へと向かわせる。
 それはまるで、燃え盛り猛り狂いながら墜ちていく星屑へと。それと比べれば遥かに小さい、白い色を基調とした凛々しく麗しい、ロボットのようでいて巨人のようでもある姿形の存在が向っていく。
 そんな幻想的な神話の一部のように見えたことだろう。ここに、彼女たちの姿を見ることが出来るものがいたのなら、の話であるが……


 そして、時は3週間ほど遡る。まだ『胎動していた悪意の予兆さえなかった頃』へと。あるいは、予兆はあったかもしれないが、平穏といえた日々へと……



 国連所属の『対イマジネイター戦略研究開発部門』というのは、実はあまり規模が大きい部署ではない。それでいて権限はそこそこあるのだが。その理由は、『イマジネイター』と通称される地球外生命体・ET、宇宙を拠点に活動する宇宙生命体には、地球上の兵器では対費用面などで効果的な成果を得ることが、まず不可能であるということが大きい。
 つまり、それをより効果的にするために設立された部門が『戦略研究開発部門』という名前の所以でもある。その対処方法研究のために、権限はあるものの基本は研究に終始することになるからして、あまり人数などが多い部門ではない。
 付け加えると、今は別に『対イマジネイターに効果的な戦闘方法』について確立する必要は、危急のものではないと判断されている。だから、研究は優先的につづけられているものの、やはりその規模が今後急激に拡大するということは、おそらくはないだろう。
 なにせ、『対イマジネイター』には『専門の嘱託臨時職員』が対処することになっている。それも、スペシャリストといってよいレベルの人間たち(1名は『イマジネイター』であって、ヒト型ではあるが人間ではない)がだ。


 その一方である天田空(アマタ・ソラ)は、実はいまだこの『対イマジネイター戦略研究開発部門』の本部に来ることになれていない。本部はアメリカにあるが、どう考えても日本人でしかも女子高生位、という年端のいかない少女がいて目立たない場所ではない。黒髪の肩口あたりで切り揃えられたおかっぱ頭と、若干つり目風だが大きく幼さを強調するような黒い目も、それに拍車をかけている。
 元の年齢でさえ馴染めていないのに、容姿が童顔で幼い風に見えるのだから、余計にだ。全体的に多少中性よりな見た目で、日本では身長も大体平均身長近くであるが、胸も若干控えめだから、まあ外国では幼く見えない方がおかしいだろう。
 もっとも、本部の人間で彼女のことを正確に知らない人間はほぼいないのだが。現時点では、最強にして唯一人類側に積極的に協力する『コア・モジューラー』(イマジネイターが取り込む核として機能している存在のこと)にして、『対イマジネイター戦』の切り札なのだから、彼女のことを知らない人間は新人くらいだ。

「ソラ、落ち着いて。なにかあればワタシがサポートするから」
 いつもそんな風に若干不安げな空をサポートするのは、形代唯(カタシロ・ユイ)と呼ばれるヒト型をした『イマジネイター』である。
 唯は『イマジネイター』としてはかなり強大、かつとても知性的かつ理性的な個体であるらしい。それゆえに、イマジネイター内では『スターゲイザー』や『ジャッジメント』などとも呼称されているらしい。
 とはいえ、それは人間の言葉に翻訳されたイマジネイターたちの間での呼称であるから、本来イマジネイターたちが唯のことをどのように呼称しているのかは、人間には想像出来ることではないだろう。
 空と出会ってからはヒト型でいないことの方が珍しいが、本来の性別を考えるということは無意味だろう。とはいえ、女性としか見えない容姿であるし、そういった口調を好んでいるらしいので、基本的には女性として扱われるし、彼女などと呼称もされている。ちなみにその容姿は、空の好みと思われるデザインにしたとのことだ。
 その髪は地面にぎりぎり届かないほど長いのだが、特に結ったりする予定はない 若干癖があって、ところどころウェーブしている。黒い髪のようにみえるが、よくみると深い藍色で深海を連想させる色合いであることが分かる。
 その目は、意思や感情の動きといったものが良く見えない。『イマジネイター』であって人間の姿は完全に擬態なのだから、一応人間の目と似た機能を有している、と説明しているものの、再現されているのは基本的に機能だけのようだから、感情が目からうかがい知れないのはある意味当然なのだろう。色は、黒い淵を連想させるような深い蒼で、虚空のようにも、深海のようにも見える
 全体的に空より若干低身長なためどこか幼く見えるが、同時にとてつもなく老成した、達観しているような様子にも見えることがある。それと同時に、空よりも遥かに女性的な肉感の持ち主でもある。これも、空の好みに合わせたといわれて、空は複雑な心境と表情でそれらを眺めたものだったが。

「たよりにしているね、唯」
「まかせて、ソラ……アナタのためなら、なんだってするから」
 実際、唯は『イマジネイター』ではあるが、同胞よりもよほど空のことを重視している。もともと『イマジネイター』についてはそんなものらしいが。とはいえ、実は唯は『イマジネイター』内では同胞を大切にしている部類になるらしいとも聞いたから、よほど独立独歩が強い生命体なのだろう。
 それはともかく、空は実は英語が全く出来ない。だから、ここでは唯が全て英語と日本語を通訳して、自然に会話出来ているように演出をする。相手には空が英語を喋っているように聞こえるらしいし、逆に空には日本語しか聞こえない。
 どのようにそういったことを実現しているのかはさっぱりだったが、それゆえに空が語学のことを心配する必要は存在しないのである。
「いつも熱いわねぇ、貴女たちって。ホントご馳走様って感じ」
 そんな会話をしているうちに、この『対イマジネイター戦略研究開発部門』の首席研究員である、アマネリス=イルジアナがこちらに来ていた。
「アマネリスさん、今日はどういった内容の依頼なんですか?」
「ああ、それはね……まあ、立ち話もなんだし、私の研究室に来て。詳しい話はそこでしましょう」
 そうして、本部にあるアマネリスの研究室へと赴いていく。研究室とはいえ、応接室も別個に存在しているため、おそらくはそこでの話になるのではないかと思われる。
 また、首席研究員という肩書は、ここでは実質的な権力のトップの1人でもある。まあ、気さくな人物ではあるので空たちは特にその辺を気にしたことはないが。
 そうこうしているうちに、研究室の応接室の扉の前に到着した。権力のトップの1人ではあるが、応接室は質素で堅実なものであって、華美ではない。扉もその1つであり、あまり見た目は派手というわけではない。
「さて、それでは話の続きだけど……」

 そして、扉の奥で、彼女たちのある意味剣呑な、ある意味ではごく普通の日常的な仕事の話が始まる……
 
 
 
第1章 1幕 へと続く

 
 


■スポンサーリンク■

映画『エレファントマン』の病気の謎を解明! 『ジョゼフ・メリック』を122年ぶりにDNA鑑定へ [ニュース]


■スポンサーリンク■
 
 
映画『エレファントマン』のモデルになった『ジョセフ・メリック』さん(1862〜90年)の病気の謎を解明するというプロジェクトが、イギリスのクイーン・メアリー大学で始まることとなった
今回のプロジェクトは、そもそも『ジョゼフ・メリック』さんが遺言で自分の遺体を病気の解明に役立ててほしい、という旨のことを書いていたためで、親族もそれを許可したために、今回のプロジェクトが行われることとなった
順調に研究が進めば、2013年の後半には病気に関する様々なことが解明されると期待されている
ちなみにこの病気、正式には『プロテウス症候群』と呼称されているが、エレファント病などとも呼ばれる


ところで、映画『エレファントマン』とは1980年にイギリス・アメリカの共同による合作映画として製作された経緯がある
その映画の内容も『ジョセフ・メリック』の半生を描いたものである。彼は、左腕などを除く皮膚、骨格の大部分に特徴的な膨張と変形をきたしていたらしい
それと全く同じ症状ということはないだろうが、似たような症状を発症する人物は現代でも稀に存在するらしく、これらの人々を治療するためにも、今回のプロジェクトの成否が問われている


プロテウス症候群に苦しんでいる自分はあまり数そのものが多いわけではないようだが、大抵はその人生は悲惨なものになっている
病気の解明で明確な治療方法が確立されていればよいのだが、それがまだであるため、大抵の人間は奇形を抱えたまま生きていかなくてはならない
しかも、この奇形は単純に見た目が醜悪というレベルに留まらない。一部が極端に肥大化している関係で、重量のバランスが崩れており特に頸椎に負担がかかるような奇形の場合、寝ようとするだけで命に係わる危険すらあるのである


今回のプロジェクトが、これらの病気で苦しむ人々を救う突破口になることを、切に願ってやまない
 


■スポンサーリンク■
nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。