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百合ブログ小説2弾『白騎融合合体ロンギフローラム 断章 フラグメント3・カタシロによる多戦術機構構想 [百合小説:ブログ小説]


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白騎融合合体ロンギフローラム 断章 フラグメント3・カタシロによる多戦術機構構想



 形代唯にとっても、多戦術機構をこのような早期に晒すことになるとは、想定外の出来事であった。その多戦術機構の操縦に、天田空が迅速に適応できるだけの対応力があったことも、予想外の出来事であった。ただ、そちらはうれしい誤算といえよう。
(これなら、他のフレームもそのまま実戦投入できそうか?)
 重フレームは、多数の敵機に対応するために、防御力を極限まで追求した追加フレームである。形代唯が構想したヴァリアブル・フレームの中では、最も重量があるために運動性をカバーしきれていないという欠点はあるが、莫大な推力を利用することで突進による速度は相当なものになる。つまり、防御力にものを言わせて一気に懐に飛び込むのが、このフレームの基本戦術なのだ。
 多数の盾型力場シールドを機体を覆うように形成するこの機構は、追加フレームにより実現されたものであるため、全く違う性質の機体へ換装することが可能である。その性質の違いに対する適応力については、前回の戦闘である程度保証されていると、形代唯は考えている。

(とはいえ、汎用フレームはともかく高空戦フレームと切り札の方には、対応しきれるかどうか……)
 ヴァリアブル・フレームによって機能を追加された後の汎用フレームは、全能力のバランスを追求したフレームである。いままでの基本フレームと汎用フレームには、それゆえに若干大きさや機能、性能に違いがある。とはいえ、性能は大部分は大きく向上しているものの、機体バランスに大きな違いはないので、ソラが扱い切れないと判断した場合には、汎用フレームのみを使用するつもりではあった。
 もっとも、本来の想定では単体から少数の相手を想定したフレームであり、その性質は元々の素体と極端には変わらないのもネックだ。重量も比較的抑えられており、かなりシンプルなフレームである。こちらは、素体の操縦と基本は大差ないが、対応出来る状況は多いものの性能を活かして戦うにはあまりにバランスが良すぎて、かえって仇となるケースもあるだろう
 問題は切り札である特殊フレームと、高速空間戦闘型フレーム、略して高空戦フレームの方だ。特殊フレームはまだ詳細は煮詰めきれていないが、切り札として考案しているために、かなり極端かつ絶大な戦闘力を秘めたフレームになることが想定されている。ソラが扱いきれるかどうかも問題だが、その性能を実現するための設計、および稼働時間の確保が課題になっている。
 おそらく、稼働時間は完全な解決は不可能だろう。短期決戦のみを追求したフレームになる予定だから、それ自体に問題はない。ただし、現状では半時間持たせるにも苦労するレベルである。自分が考えつかなかった外部フレームなどの追加によって、それは改善される余地はあるだろうが、流石に少々稼働時間が短すぎる。
 高空戦フレームの方は、地球以上の高重力圏および宇宙空間などの無重量空間などを想定しているフレームである。運動性の確保を最優先したフレームで、空間戦闘では無類の性能を発揮するだろう。ただ、重フレームとは真逆で防御力に関してはあまり高くない。回避と高い運動性能による接近を実現するために、推進用の力場にかなりの部分を使用しているためだ。
 重量は汎用フレームより上なのだが、とにかくほぼ全身が推進用のフレームであるから、高速機動戦闘においては全フレームの追従を許さない。重フレームの突進性能も、この空戦フレームとほぼ変わらないほどに、機動性に関しても高いものがある。
 重力圏からの脱出も容易に実現できるだろうが、その圧倒的なまでのスピードと戦闘機動能力が仇となって、かなり扱いづらいことが予想される。とはいえ、無重量空間や高重力空間では、他のイマジネイターとの機動力の違いが鍵となるのは、間違いないだろう。
 実は、ソラには明確に話したことはないのだが、他のイマジネイターと自分の基本的であるが決定的な違いは、地球などの大気や重力を持った空間における機動力の違いなのである。
 こちらは、地球に対する環境に配慮して機動制御を行なっているが、他のイマジネイターのほとんどは環境に配慮しているというよりは、そこまでの機動力を実現出来るだけの空間力場制御能力を持っていない、という方が正しい。
 つまり、端的に言って他のイマジネイターは宇宙空間などの機動が阻害されない場所でなければ、こちらに追随するほどの速度がそもそも出せない、ということなのだ。
 だから、地球では重フレームを使用しても決定的な機動力の差が出来ない。防御力場の生成に特化したフレームによって、機動力が同等であるのに防御力において決定的な差があるのだから、こちらが圧倒的に有利であることは、疑いようがない。
 ただ、宙間戦闘においては機動を阻害する要素が地球ほど多くはないために、重フレームのままだと機動力に違いが生じることは十分考えられる。更に、前回の戦闘からこちらに通用するだけの火力を有した個体を運用してきても、おかしくはないのである。
 宙間戦闘においては、向こうの機動力が上昇する(というか、本来イマジネイターは宇宙に生息する生物である)であろうことを考慮すると、その分を火力に回した個体の配備まで考慮すれば、宇宙空間で重フレームを使用するのは危険だろう

「高空フレームの完成を急がねばな……」
 問題は、ソラがいままでとは全くことなるほどの高速戦闘仕様に、適応出来るのかという点である。だが、重フレームのままではいい的になりかねない。汎用フレームは決定的な利点がないために、戦闘力では格下であるが多数で構成された相手に対抗するには、若干苦労するだろう。
 これは唯の予感でしかなかったが、連中はいつか宇宙でこちらに戦闘を仕掛けてくる。これは予想する材料さえない夢想に近いものだったのだが……
 

白騎融合合体ロンギフローラム 3章 生まれ落ちた悪意の星屑たち 1幕 へと続く
 


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